家族信託の事例

case 05

兄弟ではなく甥に葬儀を託したい

兄弟ではなく甥に葬儀を託したい

私(Xさん)に妻はなく、親もすでに他界しています。
兄弟が二人いますが、過去に仲違いして、長年連絡をとっていません。このような私が死んだとき、きちんと葬儀を行ってもらえるのかとても不安に思っています。できれば、日ごろからかわいがっている甥Cに私の葬儀を取り仕切ってもらいたいのです。

兄弟ではなく甥に葬儀を託したい

兄弟ではなく甥に葬儀を託したい

信託でなければXさんの希望を実現しにくい理由

ただお願いするだけ(委任契約)では、不確実

XさんがCさんとの間で、委任契約を結び、Xさん死後の葬儀についてお願いをする方法があります。
しかし、委任契約は委任者(X)さんの死亡で終了してしまうのが原則です。
しっかり契約書を作成し、その中で、委任者の死亡によって委任契約は終了しないことを決めておく必要があります。

ただ、そうした定めを置いて、Xさんの死後も委任契約を契約させたとしても、Xさんの「委任者としての地位」は相続の対象となりますので、不仲の弟Aさんと妹BさんBが共同で、委任者としての地位を相続することになります。
委任契約は基本的には自由に解除が出来ますから、AさんがBさんを説得して、一緒に(葬儀等の事務が終わる前に)委任契約を解除してしまうことも考えられます。

ただお願いするだけ(委任契約)では、不確実

その他、委任契約締結後、Xさんが死亡して実際に葬儀が執り行われるまで、葬儀費用に充てるべき財産を、しっかり確保しておくことができるか、また、相続が発生した後、他の相続財産と、葬儀費用に充てるべき財産を区別することが出来るか等、不安が残ってしまいます。

信託契約でXさんの希望を叶える

このようなケースの場合、Xさんが甥Cさんとの間で、信託契約をすることによって、Xさんの希望を叶えることができます。
具体的には、Xさんが委託者となり、受託者であるCさんに、将来、自身の希望通りに葬儀を執り行うこと(信託目的)を頼みます。
Cさんはそのために必要な金銭(信託財産)をXさんから預かって、保管しておきます。
Xさんが死亡した後、喪主になる可能性が高いのは妹のBさんでしょうから、Bさんを受益者として、葬儀を執り行うために必要な費用をBさんに渡せるように準備をしておきます。葬儀終了後、信託は終了となります。
余った金銭は、甥であるCさんに譲ることも可能です(権利帰属者)。

信託契約でXさんの希望を叶える